ヘアカラーのあと、頭皮や顔、首に「赤く盛り上がった発疹」や「我慢できないかゆみ」が出たことはありませんか?
もしそれが、数時間〜数日かけてじわじわ広がったものであれば、**ジアミンアレルギーによる蕁麻疹(じんましん)**の可能性があります。
一見、肌トラブルのように見えるこの症状は、放置すれば症状が悪化し、呼吸困難やアナフィラキシーショックにつながることもある深刻なアレルギー反応です。
本記事では、15年以上にわたりアレルギー対応のヘアカラー施術を行ってきた美容師の立場から、「ジアミンアレルギーによる蕁麻疹」のリスクと、これからの正しい対処法について詳しく解説します。
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一度でも症状が出たら、以後はジアミンを避けるのが原則です。
放置すると重症化の危険も。全体像は保存版ガイドで確認してください。
目次
ジアミンアレルギーとは?
ジアミンアレルギーとは、ヘアカラーに含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)などの酸化染料に対して、体の免疫が異常に反応してしまうアレルギーのことです。
特に白髪染め製品にはジアミンが高濃度で含まれていることが多く、繰り返し使用することで感作(アレルギーの準備状態)が進み、ある日突然、強いアレルギー反応が出るケースも少なくありません。
ジアミンアレルギーで蕁麻疹が出る理由
ジアミン成分が体内に取り込まれると、免疫が過剰に反応し、アレルギー性の蕁麻疹(じんましん)として現れることがあります。これは皮膚だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性があるアレルギー症状です。
代表的な症状
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頭皮や顔、首、背中などにボコボコと立体的に腫れる発疹
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強いかゆみや赤み
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発熱、悪寒、倦怠感
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呼吸がしづらい、喉が締めつけられるような感覚
これらの症状は、カラー直後ではなく数時間〜数日後に出現することも多く、気づいたときにはかなり広範囲に進行しているケースもあります。
蕁麻疹は軽症?それとも危険なサイン?
ジアミンアレルギーによる蕁麻疹は、「少しかゆいだけ」と軽視すべきではありません。
むしろそれは、アレルギーが進行しているサインであり、繰り返すことで重症化するリスクが高まります。
| 症状 | 重症度の目安 |
|---|---|
| 軽い赤みやかゆみ | 軽度 |
| ボコボコとした蕁麻疹が複数箇所に出現 | 中等度 |
| 顔全体の腫れ、まぶたの腫脹、水ぶくれ、息苦しさ | 重度(要緊急対応) |
軽症に見えても、次回のヘアカラーでさらに強い反応が出る可能性が高いため、皮膚科での診断・治療が必須です。
さらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
▶︎ ジアミンアレルギーを放置するとどうなる?症状悪化と命のリスク
治療法と自宅での応急処置
ジアミンアレルギーによる蕁麻疹が現れた場合、まず優先すべきは医療機関での正しい診断と治療です。
しかし、「すぐに受診できない」「夜間に症状が出た」など、すぐに病院へ行けない状況もあるかもしれません。
そこでここでは、皮膚科で行われる主な治療法と、症状が出た際に自宅でできる応急処置の方法について具体的に解説していきます。
医療機関での主な治療
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抗ヒスタミン薬の内服(かゆみや発疹の抑制)
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ステロイド外用薬(炎症や腫れに対応)
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ステロイドの内服または点滴(重症時)
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救急処置(アナフィラキシー対応)
症状が軽いように見えても、医師の診断を受けずに市販薬で済ませるのは危険です。
自分でできる応急処置
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患部を冷やす(冷タオルや保冷剤を使用)
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市販の抗ヒスタミン薬を一時的に服用(用法容量を守る)
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シャンプー・洗顔料は低刺激のものに変更
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爪を短くし、掻きむしりによる悪化を防ぐ
蕁麻疹が治っても、ジアミンカラーは絶対に使わない
「一度症状が出たけど、今回は大丈夫だったからもう一度染めよう」
その判断が、次の深刻なアレルギー反応を招く原因になります。
ジアミンアレルギーは一度発症すると体が“記憶”しているため、次回はより早く・強く反応するリスクがあるということを忘れないでください。
今後はノンジアミンカラーへの切り替えを
安全にヘアカラーを続けたい方には、ジアミンを含まないカラー剤への切り替えが必須です。
| カラーの種類 | 特徴 |
|---|---|
| ノンジアミン酸化染毛剤 | 白髪も染まる。発色良好で継続使用しやすい |
| ヘアマニキュア | 表面に色を乗せるタイプ。頭皮に触れずに施術可 |
| ヘナ(100%天然) | アレルギーリスクが低いが、ジアミン配合ヘナも存在するため注意 |
| カラートリートメント | 週1〜2回の使用で徐々に色が定着。ホームケアに◎ |
ノンジアミンカラーについてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
▶︎ ノンジアミンカラーとはどんなもの?現役美容師が解説します
まとめ
ジアミンアレルギーによる蕁麻疹は、見た目以上に深刻なアレルギー反応です。
そのまま染め続けることで、将来的にはアナフィラキシーショックなど命に関わる危険も。
大切なのは、「かゆみや発疹が出た」という事実をきちんと受け止め、
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ジアミンを含むヘアカラーは完全にやめる
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ノンジアミン製品に切り替える
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症状が出たらすぐ皮膚科を受診する
という行動を早めに取ることです。
自分の体を守りながら、ヘアカラーを楽しんでいくための第一歩を、今日から踏み出しましょう。
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