ヘアカラーをすると、頭皮のかゆみ・赤み・かぶれなどのトラブルを経験したことはありませんか?
そんなときに多くの方が調べるのが「ジアミンが入っていないカラーなら大丈夫?」というキーワードです。
このとき、よく名前が挙がるのが
「ノンジアミンカラー」と「ヘアマニキュア」。
どちらも“ジアミンを使わない安全なカラー”として知られていますが、
実はこの2つ、全くの別物ではなく、ヘアマニキュアもノンジアミンカラーの一種なんです。
とはいえ、仕上がりや色の入り方、染められる範囲などには明確な違いがあります。
この記事では、
美容師の立場から ノンジアミンカラーとヘアマニキュアの違いをわかりやすく整理しながら、
それぞれの特徴・メリット・注意点、そして「どんな人に向いているか」を解説します。
アレルギーが心配な方や、これから安全に白髪染めを続けたい方は、
自分に合ったカラー選びの参考にしてみてください。
目次
ノンジアミンカラーとは?
「ノンジアミンカラー」とは、ジアミン(パラフェニレンジアミン=PPDなど)を含まないヘアカラーの総称です。
ジアミンは発色力が高い一方で、アレルギーやかぶれを起こす原因にもなるため、
それを使わないノンジアミンカラーは頭皮トラブルを避けたい人の代替手段として注目されています。
ジアミンを使わずに染める方法はいくつかあり、
「酸性染料」「塩基性染料」「ノンジアミンアルカリカラー」「植物系(ヘナなど)」など、
成分や染まり方の違いによって複数のタイプに分かれます。
ジアミンを含まないカラー剤の総称
一般的な白髪染めやおしゃれ染めは、ジアミン染料+過酸化水素水の化学反応で発色します。
一方ノンジアミンカラーは、これらを使わずに染めるため、頭皮への刺激やアレルギーリスクが低いのが特徴です。
ただし、「ノンジアミンカラー=1種類の薬剤」ではなく、
“ジアミンを使わない方法の総称”という点を理解しておくことが大切です。
ヘアマニキュアもノンジアミンカラーのひとつ
ヘアマニキュアには酸性染料が使われており、ジアミン染料は含まれていません。
そのため、ヘアマニキュアもノンジアミンカラーの一種といえます。
髪の表面に色素をコーティングすることで白髪を染める仕組みなので、
髪を明るくすることはできませんが、ダメージが少なくツヤが出やすいのが特徴です。
つまり、ノンジアミンカラーの中でもヘアマニキュアは、
「地毛を明るくしたい人」ではなく「白髪を安全に隠したい人」に向いたタイプです。
ヘアマニキュアとは?
ヘアマニキュアは、酸性染料を使って髪の表面をコーティングするタイプのヘアカラーです。
髪の内部ではなく、外側に色を付着させて発色させるため、ダメージが少なくツヤが出やすいのが特徴。
ジアミンを使用していないため、ノンジアミンカラーのひとつとしても分類されます。
酸性染料で髪表面をコーティングして染める
ヘアマニキュアは、酸性染料を髪のキューティクル表面に吸着させて発色します。
一般的なヘアカラーのように過酸化水素やアルカリ剤を使って髪内部を脱色することはありません。
そのため、
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白髪にはしっかりと色が入りやすい
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黒髪を明るくすることはできない(脱色力がないため)
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髪や頭皮への負担が非常に少ない
といった特徴があります。
ダメージを抑えながらツヤ感を出したい方や、
アレルギーで通常の白髪染めができない方にも適した選択肢といえます。
根元が染まらないというデメリット
ヘアマニキュアは頭皮につけてはいけないカラー剤です。
染料が皮膚に残りやすく、落ちにくい性質があるため、塗布時には数ミリ頭皮を避けて塗る必要があります。
このため、染めた直後でも根元がうっすら白く浮くことがあり、
特に白髪の多い方は、この“浮き”が気になることがあります。
また、染料が頭皮につくと数日残る場合もあるため、
施術者の技術と注意が重要なカラー剤といえます。
ノンジアミンカラーの主な種類と比較
ノンジアミンカラーといっても、実はひとつの製品や方法を指すわけではありません。
染料の種類や発色の仕組みによっていくつかのタイプがあり、
「どのように染まるか」「どんな人に向いているか」がそれぞれ異なります。
ここでは代表的な4つのタイプを比較しながら、
自分に合ったノンジアミンカラーを選ぶための目安を紹介します。
| 種類 | 白髪染め | 明るくできる | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ヘアマニキュア(酸性) | ◎しっかり染まる | ×明るくできない | ダメージ最小・頭皮NG |
| 塩基性カラー | ◎染まる | ×明るくできない | カラートリートメントタイプ |
| アルカリタイプ | ○染まるが薄め | ○明るくできる | 色味の幅が広い・施術者の技術が必要 |
| ヘナ(天然) | ◎染まる | ×明るくできない | 植物100%、色味に制限あり |
ヘアマニキュアを使うときの注意点
ヘアマニキュアは髪を傷めにくく、安全性の高いカラー剤ですが、
使い方を誤ると色ムラやトラブルにつながることもあります。
特に初めて使う方やセルフカラーを検討している方は、
以下のポイントを押さえておくことで、より安心して仕上げることができます。
① 黒く染まりすぎたら明るく戻せない
ヘアマニキュアは髪の表面に色素をコーティングする仕組みのため、
一度濃く染まってしまうと、ブリーチや脱色剤では明るく戻せません。
明るくしたい場合は、自然な色落ちを待つしか方法がないのが現実です。
特に黒系・濃いブラウンなどを選ぶと、想像以上に暗く仕上がることがあるため、
施術前に希望の明るさや色味をしっかり相談・確認しておくことが重要です。
② 肌につくと落ちない
ヘアマニキュアに含まれる酸性染料は、皮膚に定着しやすい性質があります。
そのため、頭皮や顔まわり、手指についたまま放置すると、シミのように残ってしまうことがあります。
万が一ついてしまった場合は、できるだけ早く酸性リムーバーで拭き取ることが鉄則。
時間が経つほど落ちにくくなるため、施術中から注意が必要です。
美容室で染める場合は、事前に保護クリームを塗布してもらうことで予防できます。
③ アレルギーが起きる可能性もゼロではない
ジアミンを含まないヘアマニキュアでも、完全にアレルギーリスクがゼロではありません。
酸性染料・香料・防腐剤などに反応して、かゆみや赤み、かぶれを起こすケースもあります。
特に敏感肌の方や、過去に化粧品やシャンプーでかぶれた経験がある方は、
施術前にパッチテスト(皮膚試験)を行って安全を確認しておくことが大切です。
このように、ヘアマニキュアは正しく扱えば安全で美しい仕上がりを得られますが、
「落ちにくい」「根元が染まらない」「明るく戻せない」などの性質を理解したうえで選ぶことがポイントです。
どっちを選ぶべき?美容師のおすすめ基準
ノンジアミンカラーにも種類があるため、「どんな仕上がりにしたいか」や「どこまで安全性を優先するか」によって、最適な選択は変わります。
ここでは、美容師としておすすめできる判断基準を3つの方向性に分けて紹介します。
【白髪をしっかり隠したい人】
👉 ヘアマニキュア or 塩基性カラー
どちらも髪を明るくすることはできませんが、白髪のカバー力が高く、頭皮への負担が少ないのが特徴です。
特に敏感肌の方や、頭皮のかぶれが気になる方に向いています。
頻繁に染めたい方にもおすすめです。
【地毛を明るく見せたい人】
👉 ノンジアミンアルカリカラー
ノンジアミンの中では唯一、黒髪を明るくできるタイプ。
色味の幅も広く、自然なトーンアップやデザインカラーにも対応できます。
ただし、アルカリを使うため、ダメージや刺激を最小限に抑える施術技術が必要です。
美容室でのプロ施術がおすすめ。
【とにかく安全第一にしたい人】
👉 ヘナや植物系ノンジアミンカラー
化学成分を使わず、植物由来100%で染める安全性の高い方法です。
髪にハリ・コシを与え、頭皮ケアにもつながる反面、色の選択肢が限られるというデメリットもあります。
アレルギーや敏感肌でお悩みの方には最も安心な選択肢です。
このように、「求める仕上がり」と「肌への優しさ」のバランスを意識して選ぶことで、
自分に合ったノンジアミンカラーを見つけやすくなります。
まとめ
ヘアマニキュアとノンジアミンカラーは、よく比較されるものの本質的には同じグループに属するカラー剤です。
どちらもジアミンを含まないため、アレルギーや頭皮トラブルを避けたい人にとって有効な選択肢といえます。
ただし、発色の仕組みや仕上がりには明確な違いがあります。
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ヘアマニキュア:髪の表面を酸性染料でコーティングし、白髪をしっかりカバー。明るくはできないが、ダメージが少なくツヤが出やすい。
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ノンジアミンアルカリカラー:黒髪を明るくできる唯一のタイプ。色味の幅が広く、おしゃれ染めにも対応可能。
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ヘナ・植物系カラー:化学成分を使わず、頭皮ケアにも効果的。安全性が最も高いが、色の選択肢に制限がある。
このように、ノンジアミンカラーといっても種類ごとに得意・不得意があり、「万能」ではありません。
だからこそ、
👉 「どんな仕上がりを求めるのか」
👉 「どこまで安全性を優先するのか」
この2つを軸に、自分に合ったカラー剤を選ぶことが何よりも大切です。
アレルギーや頭皮への不安がある方は、必ずパッチテストを行い、信頼できる美容師と相談しながら最適なノンジアミンカラーを選ぶようにしましょう。
