毛先の白髪って染まりづらくないですか?この前染めたばかりなのに気づけばキラキラと光って目立つと染まりに疑問を抱いている方は少なくはありません。
基本的に白髪染めは濃い染料が含まれている薬剤なために1度染めると簡単に色落ちしないように作られています。
そのため毛先部分もしっかりと染まっていれば落ちづらくなるはずなのですが、実は根元よりも毛先部分の方が染まりづらいという事実があります。
それでもしっかりと薬剤を塗ることができていれば綺麗に染めることもできるので、そこはテクニック的な部分に左右されます。
目次
毛先の白髪染めが落ちやすいことが悩みです
以前は近所のクイックカラー専門店で染めていたそうですが、ある問題を感じられたそうです。
それが『白髪染めの抜けが異様に早い事』です。
前回は染めた直後にカットにお越しいただきましたが、確かにおっしゃられているように染まりが薄い印象を受けました。
今回ご来店時の様子を見ても1年近く染めていないと言われても納得してしまうくらいの伸び感です。
この部分をワントーン明るくしながら白髪はしっかりと染めたいということが今回の依頼です。
髪質もしっかりとされているお客様なので、もともと染まりにくいのでは?と思い込んでいらっしゃいましたが、しっかりと染まります。
そして、毛先部分の白髪を染めても暗くはしません。
詳しく解説していきます。
染める前の状態
まずは染める前の状態です。
前回染めたのは3ヶ月前だそうです。
染め上がり
毛先部分の白髪を明るくすることは実は非常に難しい施術です。
明るさを狙えば染まらなくなりますし、しっかりと染めようと思うと暗くなりすぎます。
明るくすることと白髪をしっかりと染めることは真逆の発想で相反することなんですね。
それでも特殊な技法でしっかりと染めながら明るさも保っていきます。
毛先の白髪染めが色落ちしやすい原因
白髪染めの色が落ちやすい原因は次の3つが考えられます。
- 放置時間が短かった
- カラー剤がしっかりと塗れていなかった
- 選んだ薬剤が適切なものではなかった
順番に解説をしていきます。
放置時間が短かった
カラー剤の適切な放置時間は30分と決められています。
この30分より短い時間を設定してしまうと発色が中途半端になり染まりづらくなることや色持ちが悪くなるなどの原因となります。
またお店によっては30分の待ち時間を時短するために、わざと暗い色の薬剤を塗って早く染めることをするケースがあるようですが暗くなりすぎたり色ムラにつながるので得策ではありません。
カラー剤がしっかりと塗れていなかった
当たり前ですがカラー剤がしっかりと塗れていないと染まりに悪い影響が起こります。
根元部分は薬剤を溜めて塗りやすいために比較的染まらないというミスはないものの、毛先部分は薬剤をたっぷり塗ることが難しく染まりムラになることもあります。
基本的なことですが大切なポイントです。
選んだ薬剤が適切なものではなかった
髪質や白髪の量によって使用するカラー剤も変化させなくてはいけません。
お客様の髪の状態と選んだカラー剤がマッチしていない場合は白髪が染まっていない、もしくは色持ちが悪い仕上がりになります。
カラー専門店での白髪染めは色落ちがしやすい作りになっている
安さを売りにしたカラー専門店では高確率でクイックカラーというものが使用されています。
通常の白髪染めは染まるまでに30分ほどの時間を要しますが、クイックカラーは5〜10分程度で染めることができます。
時間の観点で見ると早く染まるのでメリットですが、その反面色持ちが極端に悪くなります。
その場だけ染まったように見せることができても、1ヶ月後にはかなり色抜けが目立ってしまいます。
またジアミン染料の濃度が高濃度で設定されているので、アレルギーのリスクや刺激を感じやすいなどの側面も持ち合わせています。
格安カラー専門店については過去に記事にまとめてあるので、合わせてご覧ください。
白髪染めは基本的に1度染めたら長期間色落ちしないもの
白髪染めに含まれる染料は通常のカラー剤に比べて濃く設定されています。
そのため、1度しっかりと白髪を染めていれば“すぐに”落ちるなんてことはありません。
僕のお客様では半年〜長い方では1年のペースで全体を染めて、それ以外の期間は根元リタッチが基本となっています。
全体の雰囲気を変えたい方などは例外もあります。
また、染まるギリギリを狙って極力明るく染まるように設定しているケースでは、落ちるペースが早くなることもあります。
白髪染めが落ちてしまった毛先部分を染める際の注意点
前半でもお伝えしましたが、実は毛先部分の白髪を染めるのって難しいです。
イメージで言えば『塗っとけば染まるでしょ。』と捉えられがちですが、そうでもありません。
特に今回のお客様のご要望のようにできるだけ暗くしたくはないというケースは難易度が高くなります。
どの薬剤を選択するのかと、薬剤の塗り方でも染まり方は大きく変わります。
毛先を暗くなりすぎないように白髪を染める
白髪染めは色素が濃いため、毛先部分に塗ると暗くなってしまいます。
また健康な根元部分とは違い、毛先はダメージを受けていて色素が深く入りやすくなっています。
そのため、根元を染める要領で染めてしまうとくらい仕上がりになります。
必然的に根元は明るい薬剤を選択することになりますが、根元部分よりも密度が薄いため(梳いてあるため)塗った際の密着度が弱くなります。
明るい薬剤はもともと染まりにくく、さらに密着度が弱いと染まっていない!と失敗の原因になります。
そのため、今回の施術ケースでは失敗を防ぐために暗めの白髪染めを使用しました。
白髪染めで髪を明るく見せる魔法
もちろん、そのままではくらい仕上がりになってしまいます。
塗り終わって時間が経過し染まったことを確認したのちに、明るめの薬剤を重ねていきます。
つまり白髪を染めるためにあえて全体を暗くし、その後暗くなった髪を明るくするということです。
このように“明るく染めること”と“白髪を染めること”のプロセスを分けることで希望の仕上がりを作り出すことができます。
かなり手間をかけていますが1度染まりムラになってしまった髪の修正には必要な行程だと思っています。
毛先の白髪染めが色落ちしやすい?上手く染まらない原因と対処法 まとめ
そもそも毎回のカラーでしっかりと根元を染めることができていれば、すぐに色が抜けてしまうことはまずありません。
すぐに色が抜けてしまう白髪染め=失敗です。
たかが白髪染めと思われがちですが、やり方によっては大きく仕上がりに違いが出ます。
そして、目先のやすさや手軽さの代わりに何らかの代償を払っているということも忘れないでほしいです。