ヘアカラーにアレルギーがあることをご存知でしょうか?
ヘアカラーによるアレルギーのことをジアミンアレルギーと言います。
しかし、ジアミンアレルギーを知っている人は非常に少なく発症をすることでその存在を把握する方も少なくありません。
ヘアカラーの後に次のような症状がある方はジアミンアレルギー、もしくはその予備軍ということが考えられます。
- かゆみが出る
- 赤くなる
- 腫れる
- フケが出る
早めに対策をとっておき、ジアミンアレルギーになった時の準備をしておきましょう。
本記事ではそんなジアミンアレルギーについてまとめたものになります。
症状から発症後の対策までジアミンアレルギーについて詳しくまとめてありますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
ジアミンアレルギーとはどんなもの?
ジアミンアレルギーとはヘアカラー剤に含まれる『パラフェニレンジアミン』によって引き起こるアレルギーの1つです。
花粉症などと同じように体の中にはパラフェニレンジアミンに対して受け入れることのできる許容量というものがあります。
それを超えてしまうとジアミンアレルギーを発症してしまいます。
許容量というと難しいのでわかりやすく解説をします。
例えば僕のジアミンアレルギーへの耐性を100とします。
ただし、人それぞれ許される回数は異なります。
まさにその通りです。
ヘアカラーへの耐性を100持っている人もいれば1000持っている人もいます。
中には1しか持っていない人だっています。
ジアミンアレルギーへの耐性は人それぞれの生まれ持った体質によって異なります。
一生ジアミンアレルギーを発症しない人もいれば、どこかのタイミングで発症してしまう人もいます。
最近の傾向としてはジアミンアレルギーの発症率は高くなっていると言われています。
- 安く染めることのできるヘアカラー専門店の増加
- 自宅でのヘアカラーを行う方の増加
- 寿命の長寿化
これらが原因でヘアカラーに触れる回数が増え、ヘアカラーを行う一生涯の回数が多くなっていると言われています。
受付年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 皮膚障害 事例件数 154(18) 196(44) 238(36) 201(29) 219(39) ( )内は重症化事例
増加している結果は消費者庁が行なっている調査でも明らかになっておりますが、この数字は氷山の一角と言われております。
報告はないもののジアミンアレルギーを発症されている方はこの何倍もの数の方がいらっしゃると考えられております。
ジアミンアレルギーとはどんな症状?
まずは専門機関による解説をご覧ください。
ヘアカラーによる「かぶれ」は、頭・髪の生え際・顔・首筋などに、かゆみ・はれ・赤み・ブツブツなどの症状がでることをいい、かゆみしか感じないこともあります。かぶれと気づかずに、又はかぶれの症状が軽いために使用を繰り返したり、症状が治まった後に再使用したりすると、次第に症状が重くなり、まれに「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応(全身じんま疹、呼吸困難など)等が突然起こることがあり危険です。
かぶれは、「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」に分類されます。
かぶれがアレルギー性接触皮膚炎(遅延型アレルギー)の場合、典型的には、染毛6時間後~半日後くらいよりかゆみを感じ、その後にかゆみ・赤み・腫れ・ブツブツなどの皮膚炎症状が出始め、染毛の48時間後に最も症状がひどくなります。さらに症状がひどいと、顔全体が腫れたり、頭皮から滲出液(しんしゅつえき)が出たり、薬液等の接触していないところまで皮膚炎が拡大したりすることがあります。
ヘアカラーにかぶれるにも係わらず、かぶれを繰り返すと症状が次第にひどくなり、目のまわりや、顔全体がひどく腫れてしまうことがあります。 また、ヘアカラーの薬液や洗髪時のすすぎ液が接触した部位を越えて、広範囲に皮膚炎が拡大することがあります。
更にかぶれを繰り返すと、ある日突然、より深刻な即時型アレルギーが起こることがあります。
即時型アレルギーは、染毛中から染毛直後という短い間に、強いかゆみを伴うじんま疹(蚊に刺された時のような腫れ)が、ヘアカラーの薬液や洗髪のすすぎ液が接触した部分だけでなく、接触部分を越えた広範囲に拡大し、時には全身に現れることがあります。まれに、呼吸困難や血圧低下による意識障害などの重いアレルギー症状が現れることがあり、大変に危険です。
- かゆくなる
- 腫れる
- 赤くなる
- ブツブツができる(水ぶくれのようなもの)
ジアミンアレルギーを発症後にパラフェニレンジアミンを含むヘアカラー剤で染めることでこのような症状を引き起こす可能性があります。
ジアミンアレルギーを発症すると完治することがなく、繰り返すことで悪化していくと言われております。
また、症状が進行するとヘアカラーの直後から激しいかゆみが頭皮だけでなく全身に現れることがあります。
この場合は重症な症状に発展する可能性が高いので、なるべくはやく専門機関を受診しましょう。
ヘアカラーの直後〜帰宅後に何か異変があれば、皮膚科・アレルギー科などの専門機関を受診して見てもらうか担当の美容師さんに連絡をして状況を伝えましょう。
自分で判断して済ませてしまうと次回以降のヘアカラー時に重大な事故につながってしまう可能性があります。
\\ジアミンアレルギーでも染められる//
【ジアミンアレルギーとは?】治ることはある?
ジアミンアレルギーは1度発症した後は治ることは絶対にありません。
2度とパラフェニレンジアミンを含むヘアカラー剤の使用は控えるようにしましょう。
ジアミンアレルギーはパラフェニレンジアミンが触れることで過剰な反応を引き起こしてしまいます。
食物アレルギーなどは一定期間感覚を空けることや少量ずつ負荷をかけることで体を慣らしていく改善方法もあります。
しかしジアミンアレルギーの反応は治ることはありません。
むしろ悪化していくことでより症状が進行していきます。
ちょっと赤く腫れただけ・・。
ちょっとかゆみが出ただけ・・。
ちょっと水ぶくれができただけ・・。
このくらいなら我慢できるからと続けてしまうと、最悪の場合はアナキラフィシーショックを起こしてしまい呼吸困難などの重大な症状につながります。
これくらいなら大丈夫と油断せずにジアミンアレルギーの症状が出た後はパラフェニレンジアミンを含むヘアカラー剤の使用はしないようにしましょう。
【ジアミンアレルギーとは】有効な市販薬はある?
市販薬の場合はステロイド剤などで応急処置を行うことは可能です。
しかし、それよりも出来るだけ早く専門機関の受診をお勧めします。
症状によって使用する薬は異なりますし、それを判断することは知識のない僕たちにはできません。
専門の知識を持つお医者様に判断を仰いだ上で治療の方向性を定めて今後の方針を話し合いましょう。
またジアミンアレルギーの症状は時間を追うごとに悪化していきます。
はじめは大したことがないからと自宅で様子を見ていてもどんどん進行していってしまいます。
重症化する前に早めの対策を取っておくためにも出来るだけ早い段階での専門機関の受診は必須と言えます。
専門機関を受診する際はいつ頃にどんなヘアカラー剤を使用したのかをわかるようにしておきましょう。
自宅で染めた際は成分のわかるパッケージを、美容院で染めた際は主要成分を確認しておきましょう。
その後は担当の美容師さんへの報告も忘れないようにしましょう。
また通っている美容院への報告は行った方がいいと思います。
普段カットだけしか美容院を利用しない方でも報告はしておきましょう。
ジアミンアレルギーは美容院で使用するタオル・クロス・シャンプー台に残る微量な成分からでも反応を引き起こす可能性があります。
多くの美容院ではジアミンアレルギーの方への対応は行なっていないために次に来店するまでに準備期間が必要です。
【ジアミンアレルギーとは?】見分ける検査方法
ジアミンアレルギーかどうかを見分けるにはパッチテストが有効とされています。
詳しく解説をしていきます。
パッチテストで用意するもの
パッチテストを行う場合に用意するものは次の3つです。
- カラー剤
- 綿棒
- カーゼ
カラー剤は自分が実際に使用するメーカーの同じものを使用するようにしましょう。
別のメーカーのものでも判断できないことはありませんが、正確さに欠けてしまいます。
パッチテストのやり方
自分で行う際は腕の内側で行うようにしましょう。
- カラーの1剤と2剤を混ぜます
- 10円玉くらいの大きさを目安に綿棒で塗ります。
- カーゼを上から被せて30分の時間をおきます。
30分が経過した後は拭き取り、お湯でよくすすぎましょう。
この時に赤くなっている反応があるのかを確認します。
その後、数時間後〜48時間後までを測定の期間として反応を見ていきます。
時間の経過とともに赤くなる反応やかゆみなどがないかを注意深く見ておきましょう。
30分が経過したタイミングで赤くなった場合はジアミンアレルギーである可能性は薄いものの、カラー剤に対する刺激を受けやすいと言えます。
数時間後〜48時間以内に徐々に反応が現れた場合はジアミンアレルギーである可能性が高くあります。
この場合は染めることを控えましょう。
パッチテストができる場所
パッチテストは皮膚科やアレルギー化などの専門機関・美容院で行うことができます。
同じ反応を見るパッチテストですが、それぞれでやり方は異なります。
専門機関 | 美容院 | |
薬剤の用意 | 個人で用意 | お店にあるものを使う |
料金 | 5000円前後 | 無料〜2000円前後 |
実施場所 | 背中・腕 | 腕 |
見比べて見るとこのような違いがあります。
しっかりと行う場合は専門機関、簡易的に行う場合は美容院でのパッチテストがオススメです。
専門機関で行う場合は薬剤は常備していないので、美容院から調達するか市販のものを持ち込む必要があるので注意してください。
【ジアミンアレルギーとは?】発症しないための予防方法
ジアミンアレルギーを発症してしまってから治すことはできませんが、発症しないように事前に予防することは可能です。
まだ発症をしていない方は今のうちから予防に取り組むようにしましょう。
- ジアミンを使用したカラー剤を使わない
- ジアミンの濃度を低くしたカラー剤を使う
解説していきます。
ジアミンを使用したカラー剤を使わない
実は世の中にはジアミンを使用していないカラー剤も存在します。
ジアミン不使用のカラー剤のことをノンジアミンカラーと言いますが、これを使用していればジアミンアレルギーを発症することがありません。
肌への負担の少ないノンジアミンカラーですが、色持ちの悪さという点ではデメリットもあります。
そういった方の場合はノンジアミンカラーと通常のカラーを交互に行こともできます。
仮に1ヶ月に1度のペースで行なっている方の場合でも年間12回ジアミンと接触していたところを交互に行えば年間6回の接触に減らすこともできます。
ジアミンの濃度を低くしたカラー剤を使う
通常のカラーの濃度をコントロールしてジアミンの濃度を低く設定したカラー剤を作ることもできます。
1回あたりのカラー時のジアミンの濃度を半分程度に下げることで、生涯のジアミンアレルギーの発生リスクを少なくすることができます。
ジアミンを含んでいることで色持ちも安定してくれます。
【ジアミンアレルギーとは?】ノンジアミンカラー ではどんな仕上がりになる?
ケース:1 ノンジアミンカラーを使用して白髪を黒に近い色で染めた実例です。
ノンジアミンカラーでも通常のカラーと同様に白髪染めを行うことは可能です。
ケース:2 ノンジアミンカラーで明るく白髪染めを行った実例です。
脱色の工程と白髪染めの工程を2プロセスに分けることで綺麗な染まり上がりを実現しました。
ケース:3 ノンジアミンカラーでおしゃれ染めを行った実例です。
クリアな寒色系の色を目指してアプローチを行いました。
このようにノンジアミンカラーであっても通常のカラーに近い仕上がりを実現することは十分に可能です。
染めることを諦める必要はありません。
ご自身の現状でどんなものを使う事ができて、どんなものは使う事ができないのかを分析し 最適なノンジアミンカラーを選ぶことでイメージに近い仕上がりを作る事ができます。
【ジアミンアレルギーとは?】ヘアカラーを続けていくために大切なこと
20代で染め始めたとしても長い方は60年前後はヘアカラーと付き合っていくことになります。
現代のヘアカラーは長く染めることを続けていくためにもジアミンアレルギーの予防を欠かすことはできません。
本当に染めたい時にヘアカラー剤が使えなくなるよりも少しずつコントロールをしていき、負担の少ないカラーを重ねていくことで一生涯ヘアカラーと付き合っていくことができるようになります。
この記事が未来のために今のヘアカラーを見直してみていただくきっかけになれれば幸いです。
ジアミンアレルギーになり、染められなくなってしまった方や
ノンジアミンカラー で染めているけれど思い通りにならないと
お悩みの方は是非1度ご相談ください。